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Corrupt politics of Japan

日本の腐敗政治

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日本が自滅する日 殺された石井 紘基 (著)  全文 目次

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日本の進むべき道を国民が選択できるかもしれない衆議院総選挙が近くなってきました。
今後の日本の進むべき道を選択するために、役立つかも知れない資料として
この本のキャプチャーを進めています。

OCRソフトを使うのは15年ぶりくらいです。文字の変換間違いなどがあれば教えてください。図表はとりあえずなしでUPします。後で何とかするかもしれません。

数日前までずっとアマゾン・楽天ともに絶版でしたが、
今週初めから購入できるようになっています。

目次

序章 真の構造改革とは何か―「もう一つの日本」を直視せよ

  旗印の正しさだけでは改革はできない 14
  不良債権処理は最優先課題か 16
  特殊法人の安易な「民営化」は事態を悪化させる 17
  危機をもたらした真の原因は何か 20
  市場から権力の足枷を取り払え 23
  小泉流では日本が潰れる 24
  「骨太の方針」は見当違いだ 26
  わが国の経済成長率は公的支出の反映 28
  「日本の構造改革」を成功させるには 30

第一章 利権財政の御三家1特別会計、財投、補助金

第一節 誰も知らない日本国の予算
  本当の予算額は二六〇兆円 34
  税収二二年分の借金大国 38
  自分の借金を自分が引き受ける自家撞着国家 41
  この国のバランスシートはできない 45
  「企業会計」の導入と「長期予算論」は危険 46
  決算せずに予算を組む国 48

第二節 究極の〝裏帳簿″特別会計

  闇の世界で三三〇兆円を動かす特別会計 52
  逆マネーロンダリング、一般会計予算の大半は特会へ 56
  利権の巣窟 ― 道路特別会計 57
  税金をたれ流す ― 石油特別会計 60
  業界支配のための ― 港湾整備特別会計 62
  壮大なムダ ― 空港整備特別会計 64
  二重三重の補助金をバラ撒く ― 農業経営基盤強化措置特別会計 67
  「仕切り」の世界 ― 国営土地改良事業特別会計 69

第三節 官制経済を支える〝闇予算″財投
  「財投」は「特会」「特殊法人」と不離一体 71
  複雑で無定見なシステム 72
  「財投」は市場の〝疫病神″ 77
  国債買い切りオペで長期金利を下げた旧大蔵省の離れ業 79
  民間経済の〝死″を裏づける超低金利政策 83

第四節 五〇兆円をバラ撒く補助金制度
  国民の金で国民を囲いこむ制度 86
  集金、集票の道具 89
  農水省の事務次官と技官、宿命の対決 92
  ノー政の補助金に群がる〝名士″たち 95
  〝公共事業″予算の箇所付けと国会議員の手柄 98
  土地改良予算は政治家に流れる 100
  生産性向上に役立たない農業構造改善事業 103
  新橋の天下御免の政官業伏魔殿 105
  農地拡大のご褒美としてもらった夢の橋 108

第二章 経済むしばむ〝官企業″― 特殊法人と公益法人など

第一節 日本は官制経済の国だ
  事業、開発のための法律が三〇〇 112
  GDPに占める公的需要は極端に大きい 113
  資本主義の仮面を着けた社会主義 115
  政府系金融はオール民間の一・二五倍の規模 116
  不動産事業の一一%は官企業が独占 118
  市場原理が機能しない経済 119

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ
  民間経済の上に君臨する特殊法人 122
  特殊法人は行政機関ではない7 124
  法が法を破壊している 126
  子会社、孫会社がどんどん増える 128
  借金のツケは国民に回される 129

第三節 経済の〝ブラックバス″特殊法人の姿
  世界一のゼネコン1日本道路公団 131
  子会社は儲かり、公団は大赤字 132
  世界一のディベロッパー ― 都市基盤整備公団 136
  世界一の住宅ローン会社 ― 住宅金融公庫 139
  論理無茶苦茶の「財テク」集団 ― 年金資金運用基金 142
  「公共の宿」をなくせ ― 簡易保険福祉事業団など 145
  四五五億円のホテル ― 雇用・能力開発機構 147
  〝水も漏らさぬ収奪″ ― 水資源開発公団 150
  巨額の不良債権を抱える ― 石油公団 153
  国民のメリットは何一つない 156

 第四節 利権に利用される公益法人
  公益法人とは何か 160
  天下り先の防衛に必死の防衛庁 162
  公益法人と政治家の関係 166
  勝手に国民の借金を増やす ― 民都機構 168
  経済無知から出たわざわい ― 第三セクター 169
  大規模開発の「夢の跡」 ― 苫東会社の解散 172
  もうひとつのあいまい法人 ― 認可法人 174
  地方も国の相似形 ― 地方公社 175

 第五節 就業人口構成にみる歪んだ姿
  活力ある社会の人口構成とは 178
  官企業の就業人口は、なんと四〇〇万人 180
  農水系と官公需依存企業にも一三〇〇万人 182
  企業活動分野の人口を二倍に増やす 185

第三章公共事業という名の収奪システム
第一節 公共事業とは何か
  社会資本整備事業を独占する政府 188
  国会審議を締め出す公共事業計画 191
  「国民の声」を装う審議会 193
  〝借金″で行っている公共事業 195
  金力は権力、権力は金力 196

第二節 高速道、港湾、空港、農道の実態
  ラジコンの遊び場となった農道空港 200
  強引な乱開発「スーパー林道」 202
  狭い日本に一〇〇の空港 204
  羽田の国際線利用の道を塞ぐ国土交通省 207
  「一〇〇億円の釣り堀」を作る港湾建設事業 209
  大規模な自然破壊、諌早湾と中海の干拓 213
  本四連絡橋とアクアラインは質の悪い「犯罪」だ 214

第三節 ダム建設という巨大なムダ
  イヌワシの生息地、湯之谷村のダム計画は中止 217
  電気を〝湯水のごとく″ -高度成長時代の浪費のススメ 219
  休日に来る釣り人にまで漁業補償 220
  岡山県奥津町の苫田ダムでも札束攻撃 222
  計画発表から四一年目の着工 224
  ダム建設を拒み続けた徳島県木頭村 225
  〝堆砂の放流″という新たな事業に乗り出す国土交通省 228
  徒歩でも越せる大井川 229
  川辺川ダム、徳山ダム ― 各地で噴き出す疑問 231
  田中康夫知事の「脱ダム宣言」 233

第四章 構造改革のための二五のプログラム
第一節 官企業の全廃がもたらす経済の覚醒
  プログラム一 既得権益と闘う国民政権をつくる 238
  プログラム二 すべての特殊法人廃止を急ぐ 240
  プログラム三 高速道の建設を凍結する 241
  プログラム四 日本道路公団の借金は二〇年で償却する 242
  プログラム五 公団のファミリー企業から資産を回収する 244
  プログラム六 都市基盤整備公団などは、民営化でなく解体する 246
  プログラム七 住宅ローン証券化で公庫を保証機関にする 248
  プログラム八 政府系の公益法人と認可法人を即時廃止する 250
  プログラム九 地方公社と第三セクターを清算・整理する 252
  プログラム一〇 真の公益法人を支える税制つくる 253
  プログラム一一 二〇〇万人が失職するが六〇〇万人の職が生まれる 254
第二節 権力の市場からの退却
  プログラム一二 特別会計、財投、補助金を原則廃止する 256
  プログラム一三 「開発」「整備」「事業」法を撤廃する 258
  プログラム一四 公共事業長期計画を廃止する 258
  プログラム一五 新しい民間の公共事業勃興策を打ち出す 260
  プログラム一六 〝政治農業″をやめ、産む農業をとりもどす 262
  プログラム一七 徹底した地方分権を断行する 263

第三節 国家予算の半減
  プログラム一八 五年で予算規模を二分の一に縮小する 266
  プログラム一九 国債の新規発行をゼロにする 269
  プログラム二〇 「中高年一〇〇万人のボランタリー公務員制度」をつくる 271
  プログラム二一 二〇兆円を社会保障、一〇兆円を環境保全に追加する 272
  プログラム二二 大規模減税を実現する 273

第四節 品格ある「公務」の復活
  プログラム二三 「公務分限法」を制定する 275
  プログラム二四 行政監察を徹底し、会計検査院を強化する 277
  プログラム二五 天下り禁止法を急いで定める 282

おわりに 284

装  丁 亀海昌次
編集協力 岡田幹治

http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/739.html

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オウム事件の背後に潜むもの

■日本の闇を探る④ 05:15

石井紘基氏の握っていた秘密とは?

石井氏に関しては『日本は官制経済国家』(http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20050815)の中で、その著作を紹介しています。

石井氏は、議員ならではの国政調査権を用いて、自分の足で丹念に調査をし、具体的に世間にそれを提示するという、非常に珍しい手法を実践された政治家です。

私は石井氏の著作で始めてブラックボックスのような「国家予算の仕組み」を知ることができました。

2002年10月25日に起きた石井紘基議員刺殺事件の犯人は、指定暴力団山口組系の右翼団体と云われてる『守皇塾』の伊藤白水こと本名:尹白水。

では、犯行の様子を『石井紘基は、本当は誰に殺されたのか?』(http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/ISIIKOKI.htm)から引用してみましょう。

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日本が自滅する日 殺された石井 紘基 (著)  全文 序章

序章
真の構造改革とは何か ― 「もう一つの日本」を直視せよ

 旗印の正しさだけでは改革はできない

 小泉純一郎首相の出現は、低迷する日本政治に大きなインパクトを与えた。それは小泉氏が、人
気のない森政権の後に登場し、「聖域なき構造改革」 「構造改革なくして景気回復なし」といった立
派な発想と旗印の下に、積年の権力の腐敗に対して力強く対決する姿勢を示したからであった。経
済社会情勢がますます悪化するなかで、不公平感をつのらせた国民は、小泉首相に最後の望みをか
けたのである。

 たしかに、小泉氏は大胆に旧弊に立ち向かい、日本再生を果たしそうに見えた。多くの政治家の
ように、地位を得、地位を利用するために旧(ふる)い利害秩序に忠実で、人間関係の序列に利口であるタ
イプとは異なり、国家と歴史の使命に忠実な小泉氏の姿勢に、国民は共感したのである。

 しかし、残念なことに、旗印の正しさだけでは改革はできない。この半年の経過の中で小泉氏の
掲げる「構造改革」はじつは、きわめて内容に乏しいものであることが明らかになった。どうやら
小泉氏の 「構造改革」は、橋本内閣のころ、あるいはもっと以前からいわれてきた「民間にできる
ことは民間に」「税金の無駄遣いをなくす」といった「構造改革」と、本質的に違いはなさそうな
のだ。

「従来型の公共事業は景気対策に効果がない」「これ以上借金を増やすことはできない」という主
張も目新しいものではない。従来からこうした言葉は、時の政権が旧(ふる)い利害の構造を保持するため
に、国民と状況へのやむを得ざる「妥協」として用い、申し訳程度に実行してきたものだ。

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日本が自滅する日 殺された石井 紘基 (著)

第一章 利権財政の御三家―特別会計、財投、補助金

第一節 誰も知らない日本国の予算

 本当の予算額は二六〇兆円

 われわれはこの章においては、わが国の政官一体の利権システムを台所で支える財政の仕組みについてみることにしよう。利権システムを財政の面から支えている財政制度は、特別会計と財政投融資計画、そして補助金である。

 これを私は「利権財政の御三家」と呼んでいる。政官権力はこの 「御三家」を使って、財政的に特殊法人や認可法人、公益法人を支え、増殖し、天下り、巨大な権力ビジネスを展開する。これこそ経済・財政を根底から犠牲にする国をあげての利権システムの要である。

 まず、図表1-1によって、この国の財政をめぐる資金の流れをみておこう。

 財政の第一の枠組みは、表の顔である「一般会計」だ。平成一二年度でいえば、税金と借金(国債発行)を主な財源として八五兆円を集める。それを社会保障や公共事業、教育、防衛などに使う。その使い方を別の角度から分類してみると、図のように、特別会計への繰り入れが五一・六兆円で最も多い。補助金等も二一・二兆円に達している。

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第一章 利権財政の御三家―特別会計、財投、補助金

第二節 究極の“裏帳簿”特別会計

 闇の世界で三三〇兆円を動かす特別会計

 現在ある特別会計を網羅したのが図表1-7である。特定の事業を行う「事業会計」が一〇、特殊な保険を管理する「保険会計」が二、特定のものの管理や需給調整を行う「管理会計」が八、など合計三八もある。

 このうち、とくに公共事業関係の特別会計に問題が多い。国営土地改良事業特別会計、港湾整備特別会計、空港整備特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計の五つが代表的である。

 これら三八ある特会の予算規模の合計額の推移を図表1-8に示した。いまや年間予算規模は三三六兆円で、一般会計のちょうど四倍である。しかも「一般会計」の過半は特別会計に入ってしまぅのだから、何といっても国の予算の黒幕はまさに「特別会計」なのだ。ということは、わが国の財政制度は国民の福祉のための財政ではなく、憲法に違反する政府の投資事業、すなわち官制経済のための会計が主体となっているといえるのである。

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第一章 利権財政の御三家―特別会計、財投、補助金

第三節 官制経済を支える“闇予算”財投

 「財投」は「特会」「特殊法人」と不離一体「特別会計」が“裏予算”であり財政の黒幕であるとすれば、「財政投融資計画」はその裏予算を支える“闇予算〟である。国ぐるみの投資事業(=行政ビジネス)のために大量の資金を供給する“胴元”といってよい。先進諸国には例のない特異な制度であるとともに、日本の“歪み”の根元でもある。

 財投は特別会計とともに多くの特殊法人などの官企業と相互に不離一体の関係にあって政官業の一大利権体制の主な資金源となっている。しかも、特別会計と財投は、国家予算であるにもかかわらず、省庁の裁量で動くのが特徴であ
る。

 財投の原資となるのは、国民の税金の一部のほか、郵便貯金や簡易保険、さらには厚生・国民年金の積立金などである。それら「国民の積立金」はいったん大蔵省の資金運用部(会計上の名称で、そういう組織があるのではない。平成一三年度から財政融資資金に名称が変わった)に繰り入れられる。その資金を社会資本の整備などのために「投融資」するというのが、教科書的な財投の定義である。財投の貸出残高は四一七兆八〇〇〇億円で、年間予算額は約四三兆円(平成一二年度)にのぼる。

 過去一〇年ごとの残高をみると、財投が本格的に動き出した昭和五五年度末に九三兆七〇〇〇億円あったものが、平成二年度末で二二八兆三〇〇〇億円、平成一二度未には四一七兆八〇〇〇億円となっている。対前年比で最近の五年間を見ても、平成八年が二一兆円、平成九年が一八兆円、平成一〇年が六兆円、平成二年が一三兆円、それぞれ増加している。

 この結果、昭和五五年度を一としたときの平成一二年度の指数は四四・六となる。驚異的な伸びである。

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第二章

経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など

第二章 経済むしばむ“官企業”

第一節 日本は官制経済の国だ

 事業、開発のための法律が三〇〇

 わが国は“官制経済”の国だ。いや、社会主義経済の国といってもいい。金を上から下へと流しこみ、途中で政官権力が掬(すく)い上げる“流しそう麺”式の社会主義的計画経済の性格がきわめて強いのである。

 その第一の根拠は、法的な側面である。今日、わが国には「事業」「開発」「整備」等のための法律が約三〇〇を数えるに至っている。このほとんどは一九六〇年代以降制定されたかまたは改訂されたものである。わが国の全ての法律の数が一六〇〇に満たないことを思うと、いかに政治・行政が経済行為に介入し、実質的に市場を支配しているかがわかる。

 しかも、政令、省令、通達などによる事業展開はさらに膨大な量にのぼるばかりか、それぞれの法令や規則の中に無数の事業が盛り込まれている。今日、省庁が直接指揮をとる経済プロジェクト、経済関係事業の数がどれほどの量になるのかは、ほとんど想像を絶する。個々の事業を紙に書き出しただけでも、一省庁あたりダンボール何箱という単位の話である。

 横浜国立大学の花田頼明名誉教授は、わが国の権力による経済支配の手法について「日本の場合には許可制や免許制を取り、これらを通じて行政が関連企業を自分の世界に抱き込んで、一方では命令や行政指導を通じて規制しながら、他方では抱き込んでいる企業や業界を育成し保護していくというやり方を取っている」と指摘している。

 彼はこれをアメリカと対比して「アメリカではもともと規制はなく自由放任主義的に競争させることから出発しています」、自由競争の弊害に対しては「独立行政委員会をつくって、そこで審判という方法で行き過ぎを是正し……抑えていくというやり方をとっている」と説明している (『ジュリスト』一九九四年五月一日号)。

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第二章 経済むしばむ“官企業”

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ

 民間経済の上に君臨する特殊法人

 そもそも特殊法人とは、戦後経済復興のため短期・集中的に住宅、道路、鉄道等の基本的社会資本整備を行うために設けられたものであった。行政主導の社会資本整備は、初期の工業化時代には必要だったといえる。しかし、国営・公営形態は、経済が一定の発展段階に達すると逆に自由な競争を封じてしまう。

 ところが、わが国政府は、こうした官庁を動員した中央集権的、計画的経済支配から退こうとしなかった。経済への実権を放擲(ほうてき)しなかったばかりか、特殊法人を増やし、事業領域を広げ、関連公益法人や認可法人、孫会社、曾孫会社等をもって経済のあらゆる分野に行政企業の綱を張りめぐらしたのである。「甘い水」に味を占め、国と国民の未来への責任を放棄したのだ。

 特殊法人の事業規模を図表2-3に示した。NTTやJRを含むが、総額で五二兆七六〇〇億円である。これら特殊法人の拡大は地下水脈のごとく政官権力内部でひたすら膨らんでいったため、国民の目には見えにくかった。

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第三節 経済の“ブラックバス”特殊法人の姿

 世界一のゼネコン ― 日本道路公団

 高速道路建設は一般道路建設とともに巨大利権を生む公共事業の一つとして、政官の権益に支配されてきた。高速道路の建設・管理を担うのが、旧建設省、現国土交通省が所管する日本道路公団である。ほかに首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四連絡橋公団があるが、これら四公団は財務状況、経営実態、そして天下り構造まで、その規模の大小を別にすれば同類である。

 日本道路公団はその資本、資産、売上げ等、どこから見ても民間土木企業大手の一〇倍を超える超ゼネコンである。公団の新規高速道路建設は、主に民間のゼネコンに発注されるから、その意味からも道路公団はゼネコンの上に君臨する超ゼネコンである。

 国の道路建設計画としては一万四〇〇〇キロメートルの「高規格道路」があるが、そのうち一万一五二〇キロメートルは日本道路公団による高速道路(予定路線)である。そして、そのうち六六〇〇キロメートルはすでに完成し運用されている道路で、九〇六四キロメートルまでは施工命令が出ている。

 つまり、二四六四キロメートルを建設中というわけだ。ちなみにこの中には、首都高速や阪神高速、本四連絡橋、アクアライン、その他都道府県の道路公社が建設する高速道路は含まれていない。

 旧建設省は当初、高速道路は完成後三〇年で償還して公団から国に引き渡し、料金も無料になると説明していた。しかし、その後、総延長距離をどんどん延ばし、通行料も再三値上げし、償還期間も平成七年六月に四〇年に延ばし、平成二年四月には四五年に延ばした。道路審議会は高速道路の耐用年数を五〇年と見ているから、これでは永久にタダになることはない。というよりも実際には、このまま行けば料金はもっと上がり、通行量は減り、破綻してしまうのである。

 日本道路公団の事業規模は予算ベースで年間五兆五二六七億円である(平成二年度)。

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第二章 経済むしばむ“官企業”

第四節 利権に利用される公益法人

 公益法人とは何か

 公益法人とは、広義の意味では学校法人や社会福祉法人、宗教法人、医療法人、更生保護法人、特定非営利活動法人(NPO)などを含むが、一般には民法第三四条に基づいて設立される社団法人と財団法人を指す。広義の公益法人は特別の根拠法によって設立され、認可が必要なため官庁の裁量の幅が狭いが、民法による公益法人は主務官庁の許可によって設立されるので裁量の幅が広い。

 このため、霞が関の中央官庁では、在任中に天下りのための公益法人を一つつくることが課長の勲章のようにいわれた時期もあった。ここでは民法三四条による公益法人について検討する。

 この公益法人の設立要件は、①公益に関する事業を行い、②営利を目的としない、ことである。ここで 「公益に関する事業」とは、「公益法人の認可許可及び指導監督基準」 (平成八年九月二〇日間議決定)によると「積極的に不特定多数の者の利益を実現することを目的とする事業」とされている。また「営利を目的としない」とは「役職員、会員、寄付者等公益法人関係者に利益を分配したり、財産を還元することを目的とする事業を行わない」ことである。

 このため公益法人には税制などで特別の優遇措置が与えられている。しかし、後に具体的に述べるが、実際には多くの法人でこれらの原則は曲解され、あるいは、無視され守られていないばかりか、むしろ様々な特権的地位が悪用されているのである。

 社団法人と財団法人の違いを筒単に述べると、社団法人には社員が存在し、社員による総会の決定と社員の会費をもって運営される。そして、業界団体など共通の利益のための集合体が多い。一方、財団法人の場合は、設立者が定めた寄付行為(定款(ていかん)のようなもの) に基づき、設立者が出捐(しゅつえん)した基本財産の運用益をもって運営される。

 しかしこうした法律上の規定も長年の運用の中であいまいとなり、多くの場合、社団も財団も営利事業を通しての実質的、個別的利益の追求に重きが置かれるように変質しているのが実態である。

 こうした趨勢とともに、公益法人は民間の篤志家などが基金(出捐金)を拠出して社会奉仕や文化活動を行うものより、事実上官公庁が設立あるいは介入支配し、天下りや利権のために利用されるケースが急速に増加した。

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第二章 経済むしばむ“官企業”

第五節 就業人口構成にみる歪んだ姿

 活力ある社会の人口構成とは

以上、歪んだ日本経済の姿をみてきた。一言でいえば、日本は“官制経済体制の国家”なのである。行政ビジネスや行政支配が幅をきかし、市場の活動を阻害し、非効率で負担の重い社会にしている。この節では、そうした実態を人口構成の側面から検討し、まとめにしたいと思う。就業者人口の構成を分析することによっても、この国から市場経済が失われていることを証明できる。社会にはまず、高齢者や子供、障害者、病弱者、専業主婦、失業者などの非就業者が存在する。また、官公庁や教育、福祉、文化活動など生産はしないが必要な社会活動に携わる人々も存在する。

 そして、これらを含めた全ての人々が必要とする経済的「富」を生み出すのは、主として残り三分の一の層による経済(市場)活動に他ならない。つまり、ざっと三分の一の人口によって展開される経済的「価値」(資本)の拡大再生産活動が社会全体を物質的に支え、なおかつ余剰の富を蓄積するのである。

 こうした「本来あるべき姿」とわが国の現状を対比して示したのが図表2-5である。具体的に説明しよう。

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第三章 公共事業という名の収奪システム

第一節 公共事業とは何か

 社会資本整備事業を独占する政府

 公共事業とは、普通に考えれば、公共の福祉のために必要な道路や鉄道、電気、上下水道や港などの社会資本整備ということになろう。諸外国では、また、以前はわが国でも、民間どうLが協力して、民間自身がこうした事業に取り組んできた。そして、ごく基本的な社会資本整備のみ、政府の関与によって行われてきた。しかし、わが国の場合、この三〇余年にわたり、公共事業といえばすべて政府の事業という固定観念が定着してしまった。

 かつて人々が分担して土地や労力を出し合って作ってきた地域整備も今ではすべて行政の事業に組み込まれてしまった。本来なら、基幹的な道路、鉄道、港湾、空港と基礎的なエネルギー、通信事業によって一定の経済成長が達成されたあとは、国家経済的観点から原則的に、多くの社会資本整備事業を市場経済の領域に帰依させるべきであった。

 ところが、わが国では、電力やガス、鉄道、通信といった民営化された分野でさえ、いまだ官(行政) の強い首枷の下にある。それどころか、高速道路、港湾、空港から都市開発事業、住宅建設、農業土木、農業生産管理、金融・保険事業やレジャー、娯楽、趣味の領域に至るまで、ますます広範な事業が“公共事業”に組み入れられてきたのが実態である。

 この結果、「公共事業費」は膨張の一途をたどり、国際的にも自由主義・市場経済の他の国々とは、ひときわ異なる様相を里するに至っている。先進資本主義国では、これらは一般的に民間の事業となっている。政府が造る道路などにしても税収の範囲内でできる最小限、必要不可欠なものだけである。

 私が見てきたもののうち、フランスのノルマンディー大橋の場合は、数年前、その地方の企業経営者たちがイニシアティブをとり、商工会議所が主体となって計画し、資本調達を行って実現したものだ。この過程で市役所や政府は行政面からお手伝いをしただけだという。ちなみに、「社会資本整備は行政がやるもの」それを「公共事業」という、そんな国はどこにもない。

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第四章 構造改革のための二五のプログラム

第一節 官企業の全廃がもたらす経済の覚醒

プログラム一 既得権益と闘う国民政権をつくる

 これまで三つの章にわたって、わが国を危機に陥れている「官制経済体制」の現状と問題点を述べてきた。本書の末尾となるこの章では、こうした現状を変革するための具体的な処方箋を二五のプログラムとして示したい。

 今日の、わが国に根付いている「官制経済システム」とは、経済に対する政治・行政権力の支配であり、その意味で一種の社会主義体制である。こうした体制においては市場の競争原理は抹殺され、価値の創出は減殺され、資本の拡大再生産機能が失われる。一定の経済水準に達した社会における社会主義は極めて危険である。それはソ連邦の崩壊や東欧社会主義諸国の末期において、すでに実証されている。経済は市場と不可分なのだ。今日わが国において市場経済を樹立するには、体制の変革が必須である。体制変革とは、すなわち革命である。

 わが国の官制経済体制には政官権力の利益と既得権が貫徹している。さまざまな制度や、意識、社会システムがそれを支えている。こうした既得権の集大成を打破するためには、ある程度の社会的混乱は避けられない。社会的混乱は二つの要因から起こる可能性がある。一つは、既得権益に依拠する勢力とその犠牲になってきた民間企業や勤労者との対立からだ。もう一つは、補助金団体や天下り団体、そのファミリー企業において多数の失職者が出現することからだ。こうした事態に対処し、改革を成功させるためには、民主的で強力なイニシアティブが不可欠である。

 したがって、真の構造改革の断行を可能にするには、総選挙において改革のプログラムを明確に問い、政治責任を明示した公約を掲げ、四年間の信任を得た、強力で有能な国民政権の樹立が必要になる。

 この政権がつくるプログラムは、三年間で国家の基本的モデルチェンジを断行し、変革の成果を得なければならない。そして、遅くとも五年後には経済の快調な走りを実現することに責任を持たなければならない。

 小泉内閣は国民の熱狂的な支持を受け、平成二二年の参議院選挙で勝利した。しかし、それは単に、従来の政治に対する幻滅が期待となった人気に基づくもので、構造改革のプログラムを明示して国民に選択を求めたものではない。

 小泉氏に真の構造改革を断行する決意があるならば、彼は改めて早急に国民が確信を持てる改革プログラムを提示し、そのための体制を確立すべきである。さもなくば新たな革命的政権にとって替わる必要がある。

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おわりに ― 「ベルリンの壁」の向こう側

 日本にはベルリンの壁がある。その見えない向こう側に「ほんとうの日本」がある。ベルリンの壁を取り払い、ふたたび明るい陽光を浴びる日本をとりもどすために「ほんとうの日本」の一端を解明するのが本書の目的であった。

 諸兄には、現実に示されている日本と「ほんとうの日本」とはまったく違うことが、いささかおわかりいただけたと思う。私たちが、この「ほんとうの日本」を官権力の壁に閉ざされ見失ってきたところに今日のすべての問題の根元があると、私は思う。

 近年、とくに、経済政策がことごとく的外れとなり、国が迷路にはまってしまっている。私たち日本国民は、いま、国が直面する難病のような事態を打開するために、権力の壁を突いて自国の真の姿を明るみに出さなければならない。ベルリンの壁の向こう側で生起し、それが国家社会の質を決定づけている山のように巨大な事実をつまびらかにしなければならない。

 その手がかりはある。それは国会が持ち、したがって、国会議員が有する「国政調査権」という部分的「権力」の発動である。私は、これまで、一(いち)国会議員の立場で、国家財政の実状や行政企業の実態、政治利権の仕組みなどを可能な限り調査してきた。

 その結果、私は、わが国の経済分野への権力の侵出が、金と組織の広がり、法律や政策の後ろ盾、その圧倒的な規模と量によって、社会の「質」を変えてしまったという結論を得た。

 つまり、権力による経済支配が、国家社会の基本的性格を自由主義市場経済から官制経済という巨大な国家利権システムに転化してしまったのである。

 経済の自由主義、政治の民主主義、道徳の博愛主義などの原理は、ある意味では壊れやすい。民主主義には、独裁やテロリズムにつけ入れられやすい寛容な一面があるし、博愛主義に、暴力をたたきのめすことはむずかしい。これらの理想や原理原則の糸が切れてしまうと、独裁や暴力は暴走し、体制を支配してしまう。

 市場経済もまた、権力がそのナイーブな糸を断ち切り、つけ入ろうとした瞬間、たちまち後ずさりしてしまうのである。

 私は、本書において、政官の一連の行動によって日本国が変貌し、もはや市場経済から「官制経済」に移行したことの証明に努めた。こうした証明をしなければならないと考えたのには次のような経緯がある。

 衆議院議員になって二年目の平成六年、あることがキッカケで、私は、特殊法人を片っ端から調べてみた。

 調べていくうちに政府系の公益法人やファミリー企業、それらを支える財政の仕組みなどから、これまで誰にも発見されなかった「もう一つの世界」の実態が次々に見えてきた。「もう一つの世界」は巨大な権益の世界であった。

 権力の壁に遮(さえぎ)られて存在していた数々の事実は、国の実体を特徴づける基本的で重要な事柄に思えた。本当の日本国は国民の目の届かない所でつくられ進んでいたのだ。私は、地球が回っているのではなく、太陽が回っていることを発見した思いだった。

 別の言い方でいえば、日本には「ベルリンの壁」があるのではないかとの直感がよぎった。すべての鍵は「ベルリンの壁」の向こう側にあるのではないか。ほんとうの現実は「ベルリンの壁」の向こうに隠されているのではないか。

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